ビジネスモデルと業績について
M2HDはFX会社。「トラリピ」という自動発注機能を開発し、その特許も取得している。これにより他社との差別化ができている。
会社説明によると、注文の8割以上がこのトラリピを中心としたリピート注文である。
以下の図の通り、リーマンショック以降は、口座数、預り資産残高ともに順調に増加している。
ビジネスモデル上、特に重要と考えられる預り資産残高については、
2015年5月末時点で前年比18%増となっている。
営業収益は、短期的には為替相場のボラティリティが大きく影響するが、
長期的には預り資産残高に比例すると仮定する。
実際の月次の営業収益率は以下の図の通り。仮定は概ね正しそうである。
営業収益率は2014年6月に直近の最低を付けているが、当時はドル円1ヶ月物IVが、
1995年以降の最低水準を更新していた。
なお、当社の通貨ペアのシェアはドル円が35%であり、
本来なら全ての通貨ペアについて調査すべきかもしれないが、
ここでは便宜的に営業収益率の下限の目処は0.5%弱とする。
成長余地について
特許があるため、同業他社は同じサービスは提供しづらい。預かり資産残高も良好なペースで増加しており、成長余地はまだあると感じる。
ちなみに、業界最大手であるGMOクリック証券(FXネオ)の2015年3月末時点の
口座数、預り資産残高は以下の通り。
FXネオ 394,072口座 121,343百万円
当社 85,558口座 62,524百万円
今期(2016年3月期)の営業収益について
年間の営業収益予測は (預り資産残高)*(営業収益率)*(12ヶ月) で算出できる。厳しめに、預り資産残高は2015年3月から増減しないという前提で、
営業収益率を変えて最悪シナリオ、通常シナリオについて算出した。
最悪シナリオ(営業収益率が年間を通して0.5%)
61236 * 0.005 * 12 = 3674.16 (百万円)
通常シナリオ(営業収益率が年間を通して0.8%)
61236 * 0.008 * 12 = 5878.66 (百万円)
通常シナリオだとしても四季報の2016年3月期予想を若干上回る数値となった。
預り資産残高は増加基調であるため、更なる上ブレの可能性もある。
現在の株価について
利益率については年々上がっており、今期も著しい悪化はない前提として、現在の株価(1360円)に対して、通常シナリオではPERは7~8倍である。
預り資産残高の伸び率からすると、かなりの割安水準と言える。
また、最悪シナリオでもPERは16~18倍程度になると見られ、底は限られている。
リスクについて
外為オンラインの特許侵害について係争中であるが、これに敗れた場合はビジネスモデルが崩れる可能性がある。
○○ショックが発生した場合に、資金流出によって預り資産残高が減少する可能性がある。
ストックオプションの大量発行が気になるが、希薄化以上に利益も伸びそうではある。
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